令和7年度第2回市民ボランティア講座「避難所運営訓練in弘前大学」を開催しました

弘前大学地域創生本部ボランティアセンターは、令和7年11月16日(日)に弘前大学文京町キャンパス内第一体育館にて、今年度2回目の市民ボランティア講座「避難所運営訓練in弘前大学」を開催しました。本講座は、一般社団法人男女共同参画地域みらいねっと及び弘前市との協働により、内閣府防災に採択された「官民連携による避難所運営の質の向上強化事業」の一環として実施したものです。

「官学民による多様性配慮の避難所運営訓練」をテーマに、地域住民と学生が主体となり避難所の改善に取り組む訓練とし、下宿や一人暮らしの市外出身学生が地域住民と一緒に活動し交流を図りながら、また、専門分野の学生が訓練に関わることで専門の学びを活かしながら、質の高い避難所づくりの実践を目指しました。当日は学生12名、市民25名、その他ボランティアスタッフ等を含む計55名が参加しました。

プログラムは3部構成で、第1部のオリエンテーションでは、男女共同参画地域みらいねっと 代表理事 小山内 世喜子 氏による講話が行われました。まず、同団体が令和6年能登半島地震の被災地で行った支援活動についてお話がありました。発災直後の命を守る段階から、避難所が日常生活の場となるフェーズへと移行する過程で、被災者のニーズは変化するため、一人ひとりの声に耳を傾け、震災前の生活に近づけるよう避難所の環境改善を行ったり、適切な支援につないだりして、いかに災害関連死を防ぐかに注力した経験を語りました。続いて、今回の講座の目的として、多様性に配慮した避難所づくりの手法や支援のあり方、災害関連死ゼロの避難所にするために必要なことは何かを学び、公助だけに頼らず自助・共助の意識を高めてほしい旨が伝えられました。

第2部の班別訓練では、まず、参加者は被災者として避難所への避難を体験しました。目の不自由な方や車いす利用者、外国人、妊婦や子ども連れなど、さまざまな要配慮者を想定することで、それぞれが感じる不安や必要な支援について考えました。続いて、「総務・情報班」「乳幼児世帯班」「要配慮者班」「施設管理班」「衛生班」に分かれ、避難所の運営者として避難所づくりを体験しました。ボランティアスタッフの助言のもと、多様な人々を具体的に想定し、テントや段ボールベッド等物品の配置や細かな環境整備に至るまで、参加者同士で意見を出し合いながら進めました。

第3部の全体訓練では、各班が工夫した点を発表した後、互いのスペースを見学しました。そこでも参加者同士が自発的に意見を交わし、さらに学びを深めました。

最後に、今回の講座を通して得た気づきや感じたこと、さらに工夫すべき点について参加者同士で共有しました。参加者からは、「多様な人がいるからこその配慮が必要だと実感した」「限られた資源で対応する難しさを感じた」「初めて会う人同士で協力するのは容易ではないが、積極性が大切だと思った」「非常時に多様性まで考えて行動するのは難しいため、日頃から意識しておくことが重要だと感じた」など、熱意のこもった感想が聞かれました。

小山内氏からは、「それぞれの立場の人が互いの強みを活かし、尊重し合い、対等な立場で意見を交わし連携することで、一人ひとりの命を守ることができる。今回の講座では、参加者が自身の生活経験や、学生は看護学や幼児教育などの学び、市民の方は仕事で培った知識を活かしながら、避難所づくりに取り組んでいた」と講評がありました。また、本センター長 李 永俊 教授からは、「日頃から顔の見える関係づくりが万が一の場合にも役に立つ」との挨拶があり、弘前市総務部防災課 中村 康司 参事からは、「人を救い助け守るために努力していく」との決意が述べられました。

災害に関する知識等は継続して学ぶことが重要であるため、本センターでは今後も、地域の方々と共に防災についての体験ができる場を作りたいと考えています。

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